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梅雨の大雨警報が出た夜、小さな子どもと保護犬を守る「もしも」の家庭内ルールづくり

モフユイナ編集部
取材・文: モフユイナ編集部 清水 編集部員
監修: 認定獣医師・第一種動物取扱シェルター長
calendar_today2026.10.27 公開 | update2025.10.14 更新
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保護80日目の朝・リハビリ完了
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保護から40日目、初めて自らスタッフの膝の上に顎を乗せて甘えてくれた瞬間。極度の緊張が解け、瞳に穏やかな光が戻った(世田谷シェルター兼一時預かり宅にて)

梅雨の空が暗くなったら、まず家族で確認したいこと

梅雨の時期は、晴れていた空が数十分で灰色に変わり、大雨警報がスマートフォンに届くことがあります。小さな子どもがいる家庭では、学校や保育園の連絡、帰宅時間の変更、買い出しのタイミングなど、大人が同時にいくつもの判断を迫られます。そこに保護犬との暮らしが加わると、「犬の散歩はどうする」「停電したら室内は真っ暗になる」「子どもが泣いて犬が落ち着かない」といった不安が一気に重なります。

大切なのは、雨が降り始めてから考えるのではなく、穏やかな日に一度家族でテーブルを囲み、役割と手順を決めておくことです。これは特別な防災の専門知識ではなく、日々の暮らしの延長にある備えです。ここでは、保護犬を迎えたいと考えている家族、そしてすでに迎えた家族の両方が、梅雨の季節に取り組みやすい具体的な備えを整理します。

停電の夜を想定して、明かりと音の準備をそろえる

梅雨の豪雨では、落雷や倒木によって短時間の停電が起こることがあります。子どもがいる家庭では、真っ暗な室内で犬が不安がって鳴き、その声に子どもが驚いて泣いてしまう、という連鎖が起きやすくなります。まず用意したいのは、手元を照らす小型のライトと、部屋全体をぼんやり照らす電池式のランタンです。犬は急な強い光を嫌がることがあるため、ランタンは床に直置きせず、低い棚の上に置いて光を拡散させると落ち着きやすくなります。

音への備えも同じくらい重要です。雷が苦手な犬は、遠くの雷鳴でも耳を伏せて震えることがあります。保護犬の場合は、過去の生活で大きな音に慣れていない可能性もあるため、迎えたばかりの時期は特に配慮が必要です。テレビやラジオの音量を普段より少し上げる、カーテンを閉めて外の光を遮る、といった工夫で緊張がやわらぐことがあります。ただし、大きな音でかき消そうとすると逆効果になる場合もあるため、その犬がどんな音を嫌うかを普段から観察しておき、家族で共有しておくと安心です。

クレートやサークルを「安心できる場所」に育てておく

停電や避難のときに、犬をクレートやサークルに入れる必要が出るかもしれません。しかし、ふだん使っていない場所に急に入れると、犬は強い恐怖を感じます。保護犬を迎える前から、あるいは迎えた直後から、クレートの扉を開けたままにして、中に寝床やにおいのついたタオルを置き、自由に出入りできる状態にしておくことが大切です。食事をクレートの近くで与えたり、中におやつを隠したりして、「この場所は悪くない」と学習してもらいます。

小さな子どもがいる家庭では、子どもがクレートの中に手を入れたり、犬を抱き出そうとしたりしないように、家族のルールを決めておきましょう。犬が自分から入ったときは「そっとしておく場所」として尊重することが、結果的に災害時の協力関係につながります。クレートの練習は一度に長時間行うのではなく、数分から始めて、犬が落ち着いているうちに終えるのがコツです。

避難所のペット対応を、梅雨のうちに調べておく

大雨で自宅にいられなくなる事態は、そう頻繁には起きません。しかし、いざというときに「ペットはどうなるのか」を知らないままでは、家族の判断が遅れます。お住まいの自治体の防災計画や避難所一覧を確認し、ペット同行が可能な避難所、あるいはペット専用の一時預かり先があるかを調べておきましょう。ウェブサイトだけでなく、地域の防災担当窓口に電話で確認すると、最新の運用状況がわかります。

確認しておきたいのは、避難所までの経路、キャリーやクレートのサイズの条件、ワクチン接種証明や鑑札の提示が必要かどうかという点です。これらを一枚の紙にまとめて、玄関の下駄箱の上や冷蔵庫の扉など、家族の目に入る場所に貼っておくと、いざというときに探さずに済みます。子どもと一緒に「ここに書いてあるんだよ」と確認する時間も、立派な防災教育になります。

留守番中の豪雨に備える、日中の過ごし方の設計

共働きや用事で日中に犬が留守番をする家庭では、梅雨の時期は特に天候の変化が気になります。出かける前に窓を閉め切ると蒸れやすく、逆に開けっぱなしにすると雨が吹き込むことがあります。エアコンをつけっぱなしにする場合は、設定温度を普段より少し高めにして、扇風機で空気を循環させると、停電時以外の暑さ対策としても安定します。

留守番中の犬が不安で鳴き続けるのを防ぐために、出かける前の散歩や遊びの時間をいつもより少し長めにとるのも一つの方法です。ただし、梅雨の時期は地面が濡れて滑りやすいため、室内でタオルを使った引っ張り遊びや、おやつを隠して探させる遊びに切り替えると安全です。子どもがいる家庭では、朝の支度の合間に「今日は雨だから、おうちで遊ぼうね」と声をかけるだけでも、犬と子どもの気持ちが落ち着きます。

家族会議で決めておきたい、三つの役割分担

災害時の備えは、一人が抱え込むと続きません。梅雨の晴れ間などに、家族で短い会議を開き、次の三つの役割を決めておきましょう。

  • 情報係:天気予報と自治体の警報を確認し、家族に伝える担当。スマートフォンの防災アプリの通知設定もここで見直します。
  • 犬係:クレートやキャリー、フード、水、薬、リードの準備を確認する担当。保護犬の場合は、お迎え時の書類や通院記録も一緒にまとめておきます。
  • 子ども係:子どもの不安をやわらげる担当。懐中電灯で影絵をしてみる、犬と一緒に安全な場所で絵本を読むなど、暗い時間を過ごすための「いつもの遊び」を決めておくと安心です。

役割は固定せず、月に一度は入れ替わってみると、誰か一人が欠けても回るようになります。子どもが小さいうちは、役割を「一緒にやる」形にして、シールを貼る表などを作ると、参加する楽しさが生まれます。

梅雨明け後に振り返る、小さな改善の積み重ね

梅雨が明けたら、実際に起きたこと、困ったことを家族で振り返る時間をとりましょう。停電がなかった年でも、豪雨の日に「犬が落ち着かなかった」「子どもの靴が濡れて大変だった」といった小さな気づきが必ずあります。それをメモに残し、翌年の備えに反映させることが、保護犬との暮らしを長く続ける力になります。

保護犬を迎える前にこの備えを始めておくと、里親募集の面談でも「災害時にどう対応するか」を具体的に話せます。迎えた後も、家族で备えを更新し続けることが、犬にとっても子どもにとっても安心できる家づくりにつながります。梅雨の静かな雨音を聞きながら、今日できる小さな一歩から始めてみてください。

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